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                                  〜現場情報〜 VOL.10 02.11.22(金)
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             ライフサイクルコスト低減の現場

(1)被圧地下水の確認からアンカー材をSEEE→VSLに変更し、排水ボーリングを追加
  施工した現場

 平成11年度施工
 工事名:仏並(4)地区急傾斜地崩壊防止工事
 工事場所:和泉市仏並町
 発注元:大阪府土木部 鳳土木事務所

                <被圧地下水確認の現場写真>
       

 当初設計では、ロックアンカー工Φ115、L=8.0〜9.0(m)x19(本) 160.0(m)であり、推定岩質は
レキ質土、定着長3.0(m)でした。しかしながら、削孔をはじめてみると、地下水が自噴し、非常に
高い被圧がかかっており、大量の地下水が存在しました。施設の耐久性向上によるライフサイクル
コスト低減のために、排水ボーリングΦ90、L=7.0(m)x1(本)を追加施工しました。また、岩質の設
計のτ値を満足しないと判断し、基本試験を行いました。その結果、設計のアンカー定着長では
足りないことが判明したため、監督官と打ち合わせ、指示によりアンカー材をSEEE-F30TAから
VSL-E5-2に変更しました。更に、定着長を3.0(m)から5.0(m)に変更して施工完了しました。

(2)被圧地下水の確認から排水ボーリングを追加施工した現場

 平成11年度施工
 工事名:龍間(3)地区急傾斜地崩壊防止工事
 工事場所: 大東市大字龍間地内
 発注元:大阪府土木部 枚方土木事務所

              <排水ボーリング施工後の排水状況写真>
          

 当初設計では、ロックアンカー工Φ90、L=8.7〜13.2(m)x131(本) 1237.1(m)でした。
施工を進めていく中で、削孔中に水が噴き出し、地下水の存在を確認しました。このまま、アンカーを
施工すると、注入材が希釈され、アンカーとしての働きが低下するため、監督官と協議して、排水ボー
リングを提案しました。排水ボーリングΦ90、L=6.0〜10.0(m)x8(本) 70.0(m)を施工し、斜面の水位が
低下したことを確信した後、アンカーを施工完了しました。

 『無水掘工法 副題:ロックアンカー工、ロックボルト工における削孔システム』(『国土交通省-NETIS』に
詳細記載)で施工を行う事により、安全施工、品質の向上、コスト縮減34%、工期短縮38%を実現し、
一箇所でも多く土砂災害を未然に防ぎ、安心して暮らせるまちづくりを目指しましょう。

【編集室より】
 従来のロータリーパーカッション式泥水掘二重管工法は削孔時に大量の削孔水を注ぐために被圧
地下水の動向把握が難しいとされています。ご紹介した2現場はいずれも削孔中に被圧地下水の
存在が確認されたため排水ボーリングを追加施工してライフサイクルコスト低減につなげました。
 前号から当研究会が施工を行った4現場の情報をご紹介しました。
無水掘工法の長所を活かした工法は他にも多数あり、当研究会のホームページでご紹介しています。
今後も当研究会は、施工者の安全を守り、地域住民の皆様に喜ばれる施工を行っていきたいと思って
おります。

 次号は、『〜トピックス〜建設技術展2002近畿レポート』(仮称)を予定しております。