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                                  〜トピックス〜 VOL.4 02.8.23(金)
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        補助事業の実態-平成12年度会計検査院報告

 添付資料に平成12年度の会計検査院による決算検査報告の中で地すべり対策工事に
関する報告を示しています。

<添付資料>
地すべり対策工事の実施に当たり、アンカー工の施工が著しく粗雑となっていたため
工事の目的を達していないもの
(ファイル容量の関係上、添付資料は圧縮しております。解凍してご覧ください。)

以下に、添付している資料の内容を抜粋します。

○会計名及び科目   一般会計 (組織)国土交通本省 (項)河川等災害関連事業費
               [平成11年度は、
                 (組織)建設本省 (項)河川等災害関連事業費]
○部局等の名称    山梨県
○補助の根拠      地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)
○補助事業者
 (事業主体)       山梨県
○補助事業       藤尾緊急地すべり対策事業
○補助事業の概要   地すべりを抑止するため、平成11,12両年度にアンカー工、
             受圧板工等を施工するもの
○事業費         152,250,000円
○上記に対する国庫補
 助金交付額      101,500,000円
○不当と認める事業費 112,333,000円
○不当と認める国
 庫補助金交付額   74,888,666円 

●検査の結果
 工事の施工管理記録等を検査したところ、上記の試験(*添付資料参照)に使用した油圧
ジャッキの圧力計の表示に疑義があり、施工されたアンカーが設計どおりの抵抗力を有し
ているかどうかの確認ができなかったので、85本のアンカーすべてについて、設計抵抗力
に対する引抜き抵抗力を確認するために引張力を加えて実験を実施した。55本その結果、
のアンカーが設計どおりの抵抗力を有しておらず、その平均の引抜き抵抗力は31.1tfと設
計抵抗力の50.5tfに対して著しく低いものとなっていた。また、施工の実態について検査
したところ、グラウト材の予備注入を実施せずに外管を引き抜いていたり、外管の引抜き直
後にグラウト材を本注入していなかったりなどしており、このため、アンカーの地山への定着
が十分でなかった。

 上記と添付資料より、設置地盤の確認を確実に行い、被圧地下水対策等、最適な方法で
施工を行い、現場品質管理を完璧に行っていれば、手直し工事を行う必要はなかったという
ことが分かります。

 『無水掘工法 副題:ロックアンカー工、ロックボルト工における削孔システム』(『国土交通省-
NETIS』に詳細記載)を普及させる事により、品質の向上、コスト縮減34%、工期短縮38%
実現し、一箇所でも多く土砂災害を未然に防ぎ、安心して暮らせるまちづくりを目指しましょう。

【編集室より】
 今回初めて会計検査院によるグランドアンカーの指摘事項が国会へ報告されました。
手直し工事費(5129万円)は施工者がすべて負担しています。これは施工者にとっては大きな
負担です。
今回の工事では施工方法が適切ではなかったためにこのような事態が発生しました。
このメールマガジンを通して、新技術情報を始めとする情報をより多くの建設コンサルタントや
土木技術者の皆さんに知って頂き、最適な施工方法の選定のお役に立てれば幸いです。

 次号は、『〜トピックス〜斜面安定とグランドアンカー工法の現状』(仮称)「日刊建設工業
新聞2002年5月10日掲載 九州産業大学工学部土木工学科の奥園誠之教授の記事に
ついて」を予定しております。