=========================================================================================================
  JOS INFORMATION SERVICES

                                       〜現場情報〜 VOL.9 02.11.8(金)
=========================================================================================================
            アンカー長とアンカー本数が変更になった現場

 当研究会が推奨しております「無水掘工法」にて施工を行った現場の事例を2件ご紹介します。
現場写真も合わせてご覧ください。(画像のタイトルをクリックしていただくと拡大版がご覧になれます)

(1)設置地盤が推定位置よりも深い位置で確認したためアンカー長が長くなった現場


 平成12年度施工
 工事名:対岸道路八幡平工区工事
 工事場所:奈良県吉野郡川上村白川渡地先
 発注元:国土交通省近畿地方整備局 大滝ダム工事事務所 

 本現場は、大滝ダム建設による水位の増加に備え、防岸工事として計画された現場です。
下の写真は施工中のものです。

           <奈良県:大滝ダム対岸道路八幡平工区工事>
    

 当初設計において、ロックアンカー工φ115、L=7.0〜8.5(m) ×98(本)749.5(m)であり、定着長3.0m、
設置地盤は軟岩層でした。しかしながら、上・下流側において軟岩層を設計位置よりも深い位置で
確認したため、監督官立会いのもと協議を行いました。
その結果、軟岩層確認後3.0m削孔することになったため、アンカー長はL=7.0(m)〜最長L=14.5(m)
となり、98(本)、749.5mとなりました。

 削孔時設置地盤(定着層)確認柱状図をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

(2)設置地盤(定着層)の設計τ値が見直しとなりアンカー本数が変更になった現場


 平成11年度施工
 工事名:平野地区急傾斜地崩壊防止工事
 工事場所:大阪府豊能郡豊能町木代地内
 発注元:大阪府土木部 池田土木事務所

  本現場は、急傾斜地崩壊防止工事として計画された現場です。

 <1工区>                      <2工区>  


本現場は、1工区、2工区に分かれていました。
1工区はロックアンカー工φ115、L=7.5(m)× 6(本)45.0(m)、2工区はロックアンカー工φ90、L=7.0(m)× 27(本)
189.0(m)であり、設置地盤推定岩質はどちらも風化岩、定着長3.5(m)でした。
2工区に関しては設計通り風化岩が存在し、問題なく施工完了しました。
しかしながら、1工区の削孔を行ったところ、7.5(m)〜15.0(m)削孔しても、風化岩が現れませんでした。
そこで、施工を一時中断し基本試験を行いました。引張り試験の結果、設計アンカー力383.0KN/本に対し
約半分の耐力しか期待出来ない事が確認されました。
そこで、監督官との打ち合わせ、指示により設計アンカー力186.7KN/本とし、本数が倍の12(本)90(m)に変更
となり、施工を完了しました。

 『無水掘工法 副題:ロックアンカー工、ロックボルト工における削孔システム』(『国土交通省-NETIS』に
詳細記載)で施工を行う事により、安全施工、品質の向上、コスト縮減34%、工期短縮38%を実現し、
一箇所でも多く土砂災害を未然に防ぎ、安心して暮らせるまちづくりを目指しましょう。

【編集室より】
 「無水掘工法」にて施工を行う場合、設置地盤の確認を行いながら削孔するため現場においてアンカー長や
アンカー本数に変更が生じることがあります。
 従来工法である『ロータリーパーカッション式泥水掘二重管工法』では、設置地盤の確認が十分出来ないため
アンカー長やアンカー本数の変更が必要であることに気づかないまま施工を終えてしまうかもしれません。
 周辺の人たちが安心して生活できるように、現場の品質管理をより完璧にしていきたいものです。

 次号は、『〜現場情報〜被圧地下水の確認からアンカー材をSEEE→VSLに変更し、定着長が長くなった
現場と自然立木の緑を残した施工現場』(仮称)「大阪府:仏並(4)地区急傾斜地崩壊防止工事と大阪府:
龍間(3)地区急傾斜地崩壊防止工事」を予定しております。